第20回全国高等学校版画選手権大会

個人部門入賞作品 2020年

新潟日報社賞

広島市立沼田高等学校
小林 さわ

 廃墟と化した化学工場らしき建造物と怪魚?。メタモルフォーゼ(変身)とも“蘇る生命”とも読み取れる作品です。現代文明の繁栄の陰にある危うさに警鐘を、という意図があるように思います。ドライポイントの魅力を十分に生かした力強さと繊細さを合わせ持った秀作です。

NHK新潟放送局賞

神奈川県立弥栄高等学校
阿部 百葉

 豊作を祝う儀式として各地で行われていた“餅つき神事”。収穫の喜びをダイナミックに表現しています。木版画の彫り、色面の構成は見事ですが摺りが今一歩で惜しまれます。色面に今一つ力強さがあれば一層魅力のある作品になっていたでしょう。

BSN新潟放送賞

京都精華学園高等学校
難波 佳暖

 ライオンの勇猛さを画面からはみ出しそうな大胆な構図で表現しています。衒いのないストレートな彫版の力強さがテーマと一致して成功しています。

NST新潟総合テレビ賞

青森県立弘前高等学校
宮本 莉花子

 カマキリとチョウ、大自然の中で繰り返される生き物たちの葛藤、生きるための闘い、その象徴として描いているのでしょう。細やかな描写を捨て単純化したフオルムと大胆な色面、抽象作品としての魅力を持った作品です。

TeNYテレビ新潟賞

静岡県立伊東高等学校城ケ崎分校
宮下 旦

 ごくありふれた日常の中での少年の姿が生き生きと描かれて好感します。木版画の彫版のシステムはこの高校の伝統とも言える方式で実に高いレベルにあります。

UX新潟テレビ21賞

埼玉県立熊谷西高等学校
永田 晃大

 主版(墨版)に頼らない色面の構成によって水性木版画の魅力を引き出して爽やかな作品に仕上げています。特に画面下半分の省略の効いた情景の描写と色面の構成に感嘆します。

サドテレビ賞

大阪信愛学院高等学校
柳 沙奈

 意表をつく画面構成と色使いが眼をひきました。背後から見た人体、脊椎と肋骨、肋骨に見立てたファスナーを開けて人体の奥底を覗き見る…奇妙な感覚に囚われます。

ベストライフ賞

京都精華学園高等学校
山本 花鈴

 身近にある情景を何の衒いも、仕掛けもなく描き切った作品です。ドライポイントの特徴である線描の良さを生かし切って好感します。さりげなく見えて画面空間に対する感覚は作者のセンスでしょう。

昭和ゴム機工賞

福井県立武生高等学校
師田 桜子

 この大会では珍しいリトグラフによる作品です。電車の中に座る2人の少女、ごくありふれた情景描写に見えて、しかし、実に不思議な世界を感じます。どこまで続くのか…と思わせる電車の内部。「銀河鉄道」を連想させる作品です。終着駅は過去かそれとも未来?か。想像を逞しくしたくなります

双文社賞

千葉黎明高等学校

伊藤 仁心

 彫って摺る、木版画の原点であるキレの良い彫版、線と面の構成が見事です。現代の文明世界に生きる人間と生き物たちの相剋を描こうとしているのでしょうか、一つ一つのフオルムの描写と画面構成に工夫が見られてレベルの高い作品に仕上がっています。