第12回全国高等学校版画選手権大会

2012年


第12回本選大会を顧みて


版画家(日本版画協会理事) 星野美智子

お彼岸の季節になっても寒く雪のちらつく朝でしたが、相川体育館の中の14校のブースは、代表として参加した高校生の熱意が漂う暖かく明るい空間でした。木彫りで多色刷りの大作を3日間で仕上げるには、3名の選手の分業・共同製作が是非必要であったと実感している事でしょう。全国の遠い地方から集まった高校生達が、同じ広場で同じ気持ちで3日間徹夜で 製作に集中し、その間、主催者側の商工会青年部や地元の方々の暖かいサポートに包まれた経験は、なにものにも代え難い体験として心に残るものと思われます。それだけでも、佐渡・はんが甲子園は、高校教育の一環として充分に成功しているプログラムであると言う感想を持ちました。

提出期限に出品された全作品には未完成なものはなく、皆予想以上の出来映えでした。

<佐渡・未来への鼓動>と言うテーマを出しましたが、佐渡の自然や歴史的状景を、そのままでなく 造形的に象徴化し、未来への鼓動と言うテーマの中に自分たちの気持ちをいっぱい込めて表現した事が良くわかる、良い作品ばかりでした。

14点それぞれに魅力があり優劣つけがたいものでしたが、その中でも、特に絵画として良く出来ているもの、新鮮な感動をあたえるもの、を上位の賞に選びました。

この希な体験が、これからの進路選択への良きステップとなるようにと願って居ります。

以上