第17回全国高等学校版画選手権大会

予選総評 2017年

初戦が終わり代表校が決まりました。審査をしてまず感じたことは、今回の応募作品が従来の木版画に加えて他の版種、ドライポイントなどが多くなったことです。版の種類が多くなることはそれだけ版画としての表現の巾が広がることになります。そして木版以外の版種の技術がとても高くなったことを実感しました。特に多くのチームを送りだしてきた高校のレベルの高さに驚きました。作品の大きさを含めて力のこもった作品が多くありました。ただ、一校に一チームしか出場できませんから、力があっても選ばれないチームには残念な結果になりました。

そうしたなかで個人賞を選ぶのは大変難しい作業です。なるべく様々な視点から選んだつもりですが、選べなかったもののなかに、完成度は高くなくても興味を引く作品があったことを記しておきます。それから若干の危惧を感じるのは、高校生が日頃接しているゲームなどの絵からの影響です。ゲームで使われる絵はゲームの作者の絵です。それが進むと作品から作者を感じることができなくなります。

初戦を通過し本戦に出場することになったチームの皆さんおめでとうございます。今度は個人での制作ではなくチームでの共同作業になります。共同で行う制作には、個人とは違った難しさがあると思いますが、また別の楽しさ面白さもあると思います。まず佐渡に渡り皆さんが出会う佐渡の自然や町、そしてそこに暮らす佐渡の方達から、何を感じ表現したいと思うかです。それが最後まで制作の核になりますから、取材をしっかりとして、制作の方向を組み立ててください。高校生の皆さんが見つけたもの感じたことからどんな作品が生まれるか、期待し楽しみにしています。

審査委員長 磯見 輝夫